結論から言います。夜更かしも、ゲームばかりする行動も、「だらしない」わけではないのかもしれません。先日参加した「つながるin2026」の講演会で聞いた話が、とても印象に残ったので、今日はそれを紹介します。
なぜ、昼夜逆転してしまうのか
不登校の子が、昼夜逆転の生活になっていく。これは、多くの家庭で見られる現象だと思います。講演の中で語られていたのは、「夜が、その子にとって安全な時間帯になっている」という視点でした。
昼間は、学校のことを考えさせられる場面が多くあります。周囲の目、電話、「今日も休むの?」という無言のプレッシャー。一方で夜は、家族も寝静まり、誰からも干渉されず、心が休まる時間になっている。昼夜逆転は「原因」ではなく、その子が安心して過ごせる時間帯が、たまたま夜にずれているだけという理解の仕方です。
ゲームは「現実逃避」。でも、それは悪いことなのか
もう一つ、講演で語られていたのが、ゲームは問題から目を背ける逃避行動であるという話でした。これだけ聞くと、少し厳しい言葉に聞こえるかもしれません。でも、話を聞いていくと、決して「だから悪い」という結論ではありませんでした。
現実の中で挫折感や無力感を抱えている子どもにとって、ゲームは明確な目標があり、達成感を得られる場所でもあります。学校での嫌な体験を抱えている子には、ゲームに没頭して現実を忘れることが、気持ちの回復につながることもあるとされています。
現実逃避は、決して悪いことではありません。心を守るための、自然な反応です。
ゲームが、何かのサインである場合もある
講演会では、こんな話も紹介されていました。講師の方の知人が、うつの状態にあったとき、一日中ゲームをしていたそうです。本人いわく、ゲームがしたかったわけではなく、ゲームをやめた瞬間に、自分を傷つけることを考えてしまうのが怖かったとのことでした。現在は回復されているそうです。
このケースは、うつという状態が背景にありました。ですが、不登校で引きこもりがちになり、ゲームをやり続ける子どもの中にも、もしかしたら同じように、何かのシグナルを発している場合があるのかもしれません。ゲームに没頭すること自体は、先ほど述べた通り自然な反応です。ただ、その没頭の度合いや、本人の様子に、いつもと違う変化がないか、気にかけておくことも大切なのだと思います。
もし、お子さんの様子に強い変化(表情が乏しくなる、極端に会話が減る、食欲や睡眠に大きな変化が出るなど)が見られる場合は、一人で抱え込まず、学校のスクールカウンセラーや、地域の相談窓口、児童精神科など、専門家に相談することを、ためらわないでほしいと思います。
「注意する」ことが、逆効果になる理由
ここで、少し難しい問題が出てきます。夜更かしも、ゲームも、その子にとって「安全な場所」「心を守る手段」だとしたら、それを頭ごなしに取り上げることは、その子の最後の逃げ場を奪うことになりかねません。
「夜更かしはやめなさい」「ゲームばかりして」という注意は、良かれと思って口にする言葉です。でも、生活リズムだけを無理に直そうとすると、本人の中にある不安が整理されないまま、朝と夜のたびに親子がぶつかるようになる。結果として、家庭の中の安心まで減ってしまう可能性があります。
難しく考えず、まず「体が喜ぶこと」から
ここまで、心の状態について色々と書いてきました。でも、心のことを考えすぎると、かえって身動きが取れなくなることもあります。だからこそ、心と体を、一度切り離して考えてみるのも一つの方法だと思います。
難しいことは抜きにして、まずは体が喜ぶことを、一番に考える。
- 適切な栄養を摂る
- 適切な睡眠を摂る
- 適度な運動をする
- 適度な学習をする
これだけです。心の状態がどうであれ、体を整えることは、誰にでも、今日から始められます。夜型の生活を無理に直そうとするのではなく、まずは「ちゃんと栄養を摂れているか」「体を少しでも動かせているか」という、シンプルなところから見てあげる。心の話は複雑で、正解も見えにくいものですが、体のことなら、できることが具体的に見えてきます。
心が整うのを待つのではなく、体を整えることから、結果的に心も少しずつ落ち着いていく。そういう順番があってもいいのだと思います。
自分のことが嫌いになる瞬間は、誰にでもあります。自分を傷つけたくなる気持ちも、決して特別なものではありません。ただ、「自分の体を喜ばせる」ということを、一度でも考えたり、実践したりしたことがある人は、意外と少ないのではないかと思います。
大切なものの多くは、目に見えません。だからこそ、「自分の体を大切にしてあげる」ということを考えられること自体が、実は主体性を育む一番の近道なのかもしれません。誰かに言われてやるのではなく、自分の意思で、自分の体に、少しだけ優しくしてあげる。その小さな一歩が、その先の大きな変化につながっていくのだと思います。
まとめ
- 不登校の子の昼夜逆転は、夜が「安全な時間帯」になっているという見方ができる
- ゲームへの没頭は「現実逃避」だが、それは心を守るための自然な反応
- ただし、没頭の度合いによっては、何かのシグナルである場合もあるため、様子の変化には注意を払いたい
- 頭ごなしに注意すると、その子の安全な場所を奪い、家庭内の安心も減ってしまう可能性がある
- 心と体を切り離し、まず「体が喜ぶこと(栄養・睡眠・運動・学習)」から整えることも一つの方法
- 自分の体を大切にすることを考えられること自体が、主体性を育む近道かもしれない
アセラズ、クサラズ、アキラメズ。
夜更かしも、ゲームも、その子なりに、必死に自分の心を守っている姿なのかもしれません。まずは、体からできることを、一緒に見つけていきたいと思います。


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