結論から言います。不登校になり、通信制高校に進学すれば、ひとまず安心——そう思っていませんか。でも、実際には、「学校に行かなくていい」という自由の先に、別の種類の孤立が待っていることがあります。
通信制高校、在籍者は30万人を突破
不登校の小中学生は過去最多の35万4千人にのぼり、通信制高校の在籍者数も現在30万人を突破、右肩上がりで増え続けています。不登校になった後の進路として、通信制高校は、今や非常に身近な選択肢になっています。
ただ、その裏側で、見過ごせない現実があります。
「担任と月1回LINEできれば良い方だった」
ある大学4年生が、自身の通信制高校時代を振り返って語った言葉です。コロナ禍を契機に中高一貫校から通信制高校へ転校した彼女は、転校後の1年半を、自宅でほぼ一人で過ごしました。担任との連絡はまばらで、友人と会う機会も減り、進路についての相談相手もいなかったといいます。「孤独だった」と、本人は振り返っています。
これは、特殊な例外ではありません。ネットコース・在宅コースでの孤立、友人ゼロ、進路の相談窓口もない——そうした環境が、今もなお、多くの通信制高校に存在しているとされています。
「自分のペースで学べる」の、本当の姿
通信制高校の魅力として、「自分のペースで学べる」という言葉が、よく使われます。でも、ある通信制サポート校の校長は、こう表現しています。「自分のペースで学べると言えば聞こえはいい。しかし、その実態は、誰とも話さない3年間です」。
仲間ができるのは、年に数回のスクーリング(対面授業)のときだけ。それ以外は、自宅で、チャットだけの無機質なやりとりが続く日々です。「このままで社会に出られるのか」という、漠然とした不安が、じわじわと自信を奪っていく、とも指摘されています。
結果として、進路が決まらないまま卒業するケースも
人との接点が少なく、相談できる相手がいない状態が続くと、結果として、進路が未決定のまま卒業してしまうケースも、後を絶たないとされています。せっかく「学校に通えない」という壁を越えたのに、次は「将来が見えない」という、別の壁にぶつかってしまう構図です。
不登校から抜け出すための選択肢だったはずの通信制高校が、**環境によっては、新しい孤立の場所になってしまう**。これは、誠実に伝えておくべき現実だと思います。
対策の動きも、始まっている
こうした課題を受けて、新しいタイプの通信制サポート校も生まれています。少人数の担任制を採用し、教師が生徒一人ひとりと、継続的に対話しながら伴走する仕組みや、オンライン上でも「その場にいる」感覚を作る工夫など、**「一人にしない」ことを、意図的に設計する学校**が登場してきています。
通信制高校を選ぶときに、見ておきたいこと
通信制高校を選ぶ際、「出席日数のハードルが低いこと」「自分のペースで学べること」だけに注目しがちですが、**「人との接点が、どれだけ用意されているか」**も、同じくらい大切な基準だと思います。
担任との連絡頻度、スクーリングの回数、進路相談の体制など、具体的に確認しておくことで、「入学したら、思ったより孤立してしまった」というミスマッチを、防げる可能性があります。
まとめ
- 通信制高校の在籍者数は30万人を突破し、増え続けている
- 「担任と月1回LINE」という、当事者が語る孤立の実態がある
- 「自分のペースで学べる」の裏側には、「誰とも話さない3年間」になりかねない構造がある
- 人との接点が少ないまま、進路未決定で卒業してしまうケースも後を絶たない
- 「人との接点の多さ」を、通信制高校選びの基準に加えることが、ミスマッチを防ぐ一歩になる
アセラズ、クサラズ、アキラメズ。
「学校に行かなくていい」という選択肢が、「誰ともつながらなくていい」という意味にならないよう、選ぶときに、少し立ち止まって確認したいですね。


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