結論から言います。私自身、この制度の変化を最近まで知りませんでした。
不登校の子を持つ保護者の方と話していると、「うちの子、学校に行けていないから、内申点はもうゼロなんです」という声を、今でもよく耳にします。PTA活動を通じて多くの保護者の方と関わってきましたが、この思い込みは根強く、そして辛いものです。
でも実は、この状況、静かに変わり始めています。
2024年、国は「学校外の学びも成績に反映できる」と明確にした
文部科学省は2024年8月29日、「不登校児童生徒が欠席中に行った学習の成果に係る成績評価について」という通知を、全国の教育委員会に発出しました。同日付で施行された法令改正により、義務教育段階の不登校児童生徒が学校外で学習した成果を、成績評価に反映できることが、法令上明確化されたのです。
背景には、不登校の児童生徒数が10年連続で増加し、2年連続で20万人を超えて過去最多を更新し続けているという現実があります。一方で、教育支援センターや民間団体等の学校外の機関、あるいは自宅でICTを使って学習を続けている子どもたちも、増加傾向にありました。
「学校に通えなくても、努力は評価されるべきだ」という考え方自体は、実は2019年の通知でも示されていました。今回の改正は、その考え方を、法令上さらにはっきりさせたもの、という位置づけです。対象になり得る学びの場は、教育支援センター(適応指導教室)、フリースクール、オンライン学習、家庭学習、個別指導など、多岐にわたります。
ただし、「自動的に成績がつく」わけではない
ここで誤解してほしくないのは、学校外で頑張れば自動的に成績がつく、わけではないということです。これはあくまで、学校外の学びを、学校が評価の「根拠資料」として受け取り、最終的には学校が評価する、という仕組みです。外部機関が評定を決めるわけではありません。まずは学校に「どのような形なら反映可能か」を確認することが、出発点になります。
もう一つ、あまり知られていない動きがあります
内申点そのものではなく、高校入試の調査書(内申書)から「出欠席日数欄」自体をなくす、という動きも、全国で静かに広がっています。朝日新聞が2024年6〜7月に、全国47都道府県の教育委員会に行ったアンケートによると、公立高校入試の調査書から出欠席日数欄を、2027年度入試までに19都府県が廃止することが分かりました。
| 実施時期 | 都府県 |
|---|---|
| 2020年度以前に廃止済み | 東京、神奈川、大阪、奈良 |
| 2023年度 | 宮城、愛知、滋賀 |
| 2025年度 | 新潟、兵庫 |
| 2026年度(予定) | 青森、岩手、山形、長野、京都 |
| 2027年度(予定) | 福島、茨城、埼玉、石川 |
理由としては、不登校の生徒が出席日数だけで不利に扱われる心配があること、「出欠が合否に響くのでは」という保護者の不安が大きいこと、そして国が「出席日数のみで不利に扱わないように」と通知していることが挙げられています。お住まいの都府県が、この表のどこに当たるか、一度確認してみていただければと思います。
それでも、正直に言っておきたいこと
ここまで前向きな制度変化を紹介してきましたが、誠実に言うと、これで不安がすべて解消するわけではありません。学校外学習の成績反映は、学校側がどこまで積極的に対応してくれるかに左右される部分が大きいですし、評定の付け方は「校長の判断」が最多で、統一的な基準はまだありません。出欠欄の廃止スケジュールも、都府県によって差があります。
つまり、制度は確かに変わった。でも、知っているか知らないかで、家庭が動ける選択肢の数は、大きく変わる、ということです。「学校に行けていないから、もうどうしようもない」と諦める前に、学校側にどんな形で学びを積み上げれば評価につながるのか、一度確認してみる価値はあると思います。
まとめ
- 2024年8月、国は法令改正により、不登校児童生徒の学校外での学習成果を成績評価に反映できることを明確化した
- ただし外部機関が評定を決めるわけではなく、学校が根拠資料として受け取り評価する仕組み
- 不登校生の評定の付け方は「校長の判断」が最多で、統一的な基準はまだない
- 高校入試の調査書から「出欠席日数欄」を廃止する動きが、2027年度までに19都府県に広がっている
- 制度は変わったが、知っているかどうかで家庭が動ける選択肢の数は変わる
アセラズ、クサラズ、アキラメズ。
知ることは、それ自体が一つの武器になります。


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