結論から言います。高市総理が、AIエンジニアの安野貴博氏から「家庭教師」を受けた、というニュースがありました。総理自身が音声入力でAIにアプリを作らせ、「先月までの国会もこれがあればよかった」と感嘆する場面もあったといいます。このニュースを見て、ふと思いました。これから、塾はAIに置き換わっていくのだろうか、と。
総理が受けた「AI家庭教師」の中身
2026年8月28日、高市総理はチームみらいの安野貴博党首を首相官邸に招き、生成AIの使い方の指導を受けました。総理は音声入力で、政府の物価高対策の効果を家庭ごとに試算するシミュレーターを、数分で作成。その様子に「もう出てきた。すごい」と驚きの声を上げたといいます。
これは、今年5月の党首討論で、安野氏が「必要があれば家庭教師に行く」と提案したことがきっかけで実現したものです。各メディアの報じ方もさまざまで、AIの生産性を象徴するエピソードとして扱う社もあれば、少数与党という政治状況の中での野党連携という、政治的な意味合いに注目する社もありました。
子ども向けのAI家庭教師は、既に広がっている
このニュースを聞いて連想したのが、子ども向けの教育現場です。実は、AIが子どもの学習をサポートする仕組みは、既に相当な規模で広がっています。AI教材「atama+」は、全国4,000教室以上の塾に導入されており、蓄積された解答データは7億件にのぼります。
具体的な成果も出ています。長野県のある個別指導塾では、atama+を導入した後、国公立大学の合格実績が2020年度の6名から、2024年度には42名へと、7倍に伸びました。AIドリル教材「Qubena」では、学習時間が半分に短縮されたという事例もあります。
塾は、なくなるどころか、二極化している
2025年の学習塾の倒産は、過去最多を更新しました。ただ、これは「AIが塾を潰している」というより、「AIを武器にできる塾と、できない塾の差」が広がっている、というのが正確な実態です。膨大な入試データとICT投資で攻勢を強める大手塾が、安価なAI自立学習コースを新設し、これまでの棲み分けを崩しつつあります。
興味深いのは、AI導入の目的が「講師を減らすこと」ではなく、「講師の力を最大化すること」だとされている点です。実は多くの塾が、深刻な講師不足に悩まされています。AIが講師の仕事を奪うのではなく、むしろ講師が集まりにくい時代だからこそ、AIに頼らざるを得ない、というのが実情のようです。
AIが代替できない、たった一つのこと
ここまで見てきて、一つはっきりしたことがあります。AIは、知識を教えることにおいては、既に人間の講師を上回りつつあります。24時間対応、個別最適化、コストの安さ。どれをとっても、強力です。
ただ、AIには不得意なことがあります。ある学習者は、独学でAIを使いながら勉強していたとき、「明日も勉強しよう」という気持ちを続けることが、一番の壁だったと振り返っています。AIは「何を優先して勉強すべきか」までは、代わりに判断してくれません。計画を立て直す人がおらず、苦手科目ばかり後回しにしてしまった、という失敗の実例も報告されています。
塾や講師の本当の役割は、知識を教えることではなく、続けられるように寄り添うこと。これだけは、今のところ、AIには代替できていません。
まとめ
- 高市総理が、AIエンジニアから直接「AI家庭教師」を受けた
- 子ども向けのAI家庭教師は、既に全国4,000教室以上に広がっている
- 学習塾の倒産は過去最多だが、AIを導入した大手塾は増益を確保しており、二極化が進んでいる
- AI導入の目的は「講師を減らす」ことではなく、深刻な講師不足を「AIで補う」こと
- AIが代替できないのは、「知識を教えること」ではなく「続けられるように寄り添うこと」
アセラズ、クサラズ、アキラメズ。
総理は今日、AIの使い方を”習い”ました。でも、それを明日も、明後日も使い続けられるかどうかは、また別の話です。それは、総理も、勉強を頑張る子どもたちも、同じなのかもしれません。


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