AI翻訳がここまで進化した今、それでも日本人が英語を学ぶ必要はあるのか

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結論から言います。「AIが翻訳してくれるなら、もう英語なんて勉強しなくていいのでは」——これは、決して突飛な疑問ではありません。実際、外資系投資銀行で20年働いてきた専門家でさえ、「英語を使わない人生を選ぶなら、英語学習の優先度は下がる」のは事実だと認めています。それでも、調べていくと、この先の日本には、英語がこれまで以上に必要になる、はっきりとした理由が見えてきました。

日本人の英語力、非英語圏で96位

スイスの教育機関EFエデュケーション・ファーストの2025年版調査によると、日本人の英語力は、非英語圏123カ国・地域中96位でした。5段階評価で最も低い「非常に低い能力レベル」に分類されており、調査開始の2011年以降、順位はほぼ毎年下落し続けています。

なぜ、日本人はここまで英語を必要としてこなかったのか

理由は、シンプルです。日本は、読みたい本も観たい映画も、ほとんどすべて日本語に翻訳されている、「すべてが自国語で完結する社会」だからです。英語ができなくても、生活にまったく支障がありません。歴史的にも、日本は外国に支配された経験がほぼない国で、多くの非英語圏の国が植民地支配や近隣国との往来の必要性から英語を身につけてきたのとは、背景が根本的に異なります。

つまり、「英語を話せないと困る」という切実な必要性そのものが、日本には構造的に存在してこなかった、ということです。

それでも、英語が必要とされる3つの理由

AI翻訳の進化は目覚ましいものがありますが、専門家の間では、それでも英語には価値があるという意見が、複数の角度から語られています。

一つ目は、ニュアンスの問題です。言葉の選び方一つに込められた、特別な意味合いは、翻訳の過程でどうしても失われてしまいます。原文のまま理解できるからこそ、深く味わったり、感動したりできる場面があります。

二つ目は、「見抜く力」としての価値です。「電卓があるから算数はいらない、とはならない」という例えが、分かりやすいと思います。基礎的な計算力がなければ、電卓の答えが合っているかどうかの判断すらできません。同じように、基礎的な英語力がなければ、AIの翻訳が正しいかどうかを、判断することができないのです。

三つ目は、価値のシフトです。「読む・書く」はAIに任せられるようになっても、「話す・聞く」、そして英語を使って思考する力、異文化を理解する力には、人間にしかできない部分が残ります。上智大学の専門家は、「AIが発達したからこそ、逆に英語学習の本来の価値が輝く時代になる」と述べています。

人口減少する日本で、英語がもっと必要になる理由

ここからが、今回一番お伝えしたいことです。日本はこれから、これまで以上に英語を必要とする局面を迎えると考えられます。

一つは、国内市場の縮小です。日本の生産年齢人口は、1995年のピーク時には約8,700万人でしたが、2025年には約7,300万人にまで減少しました。国内の働き手も、消費者そのものも、確実に減っていきます。これまで国内需要だけで事業を成り立たせてきた企業も、海外に目を向けざるを得ない局面が、今後ますます増えていくはずです。

もう一つは、国内で働く外国人の増加です。日本に住む外国人の人口は、2026年1月時点で403万1,159人、総人口に占める割合は3.3%に達し、過去最多を更新しました。外国人労働者数も257万人を超え、就業者全体に占める割合は約3.8%、「26人に1人が外国人」という時代になっています。企業が外国人を雇用する理由として、「労働力不足の解消・緩和のため」と答えた割合は69.0%にのぼります。

つまり、海外に出ていかなくても、**国内にいながら、英語(あるいは複数言語)でのコミュニケーションが必要になる場面が、確実に増えていく**ということです。「海外と取引する人だけが必要とする力」から、「国内で働く誰もが、いずれ必要になるかもしれない力」へと、英語の位置づけ自体が変わりつつあるのだと思います。

「全員に必要」から「選んだ人に必要」へ

こうして見てくると、英語学習は、「全員が同じように頑張るべきもの」から、「人生の選択によって、必要度が大きく変わるもの」へと、性質が変わりつつあるのだと思います。英語を使わない人生を選ぶなら、優先度は下がっていくでしょう。でも、人口が減っていく日本で、海外との関わりや、国内の多様な人々との関わりを避けて通れない場面は、むしろ増えていきます。

だからこそ、子どもには、将来「選べる」だけの基礎力を持たせておきたいと思います。英語ができないという理由だけで、進みたい道や、出会えたはずの人との関わりが狭まってしまうのは、もったいないことだと思うからです。

まとめ

  • 日本人の英語力は非英語圏123カ国・地域中96位と、世界的に見て低い水準にある
  • 日本は「すべてが自国語で完結する社会」のため、英語を必要とする切実さが、構造的に薄かった
  • それでもAI翻訳では代替できない価値として、ニュアンスの理解・AIの誤りを見抜く力・異文化理解などが挙げられる
  • 人口減少による国内市場の縮小、外国人労働者の増加(過去最多403万人超)により、今後は国内にいても英語が必要になる場面が増えると考えられる
  • 英語学習は「全員に必要」から「選んだ人に必要」へと変わりつつあるが、子どもには選択肢を狭めないための基礎力として備えさせたい

アセラズ、クサラズ、アキラメズ。

「なぜ必要か」を考えることは、「どう学ぶか」を考えるより先に、大切なことなのだと思います。

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