「お腹が痛い」は、言葉にできない不安のサインかもしれない。高学年に増える”身体症状症”

育児・生活習慣系

結論から言います。病院で検査をしても、特に異常が見つからないのに、繰り返し「お腹が痛い」「頭が痛い」と訴える子どもは、少なくありません。これは、ストレスによる「身体症状症」かもしれません。体の痛みという形でしか、気持ちを表現できていないだけ、ということがあります。

検査で異常がないのに、続く痛み

子どものこころ専門医で、あじさいクリニック院長の蟹江絢子さんは、こう説明しています。「検査の結果、特に悪いところはないのに、一定期間以上にわたり、頭痛や腹痛を訴える場合は、ストレスによる身体症状症だと考えられます」。

特に、**学期の前半**は、不安が高まりやすい時期です。新しい環境に慣れなければならなかったり、友達関係も新しく頑張らなければならなかったりという、プレッシャーの中で、症状が出る子が増える傾向があるとされています。

親を悩ませる、2つの迷い

「子どもが頭痛や腹痛を繰り返し訴えてくるたびに休ませていたら、休み癖がつくのではないか」「このまま不登校になってしまっては困る」。こうした不安を感じる親御さんは、多いと思います。

身体症状症の子は、日ごろは元気そうに見えることが多く、だからこそ、「本当に休ませるべきか」と迷ってしまいます。さらに、親を悩ませるのが、**子ども自身が、何にストレスを感じているのか、分かりづらい**という点です。本人も、はっきり自覚できていないことが多いからです。

改善のカギは、「言語化」にある

ここが、今回一番重要なポイントです。小児科・精神科医の鈴木基司氏は、不安の現れ方について、こんな図式を示しています。不安や不快な気持ちを抱えたとき、それが「問題行動や身体症状」として表に出るか、「言葉」として表に出るかは、**「話せば聞いてもらえる、分かってもらえそうだ」という安心感があるかどうか**で、分かれるとされています。

つまり、腹痛や頭痛という体の痛みは、**言葉にできなかった不安が、形を変えて現れたもの**だと考えられます。「言語化」とは、この、まだ言葉になっていない気持ちを、少しずつ、言葉として引き出していく手助けのことです。

家庭でできる、具体的なサポート

専門家の見解をまとめると、家庭でできるサポートは、大きく4つの視点に整理できます。

  • 環境を整える:予定を見える化し、負荷を小さく分解する。「休み方」自体を、あらかじめルールとして決めておく
  • 話を聞く姿勢を作る:「なぜ痛いのか」を問い詰めるのではなく、「話してもいいんだ」と思える関係を、日頃から築いておく
  • 目標を変える:「痛みをゼロにする」ことを目指すのではなく、「少しずつ、生活を元に戻していく」ことを目標にする
  • 手助けと見守りの線引きを決める:「どこまで手伝い、どこから見守るか」を、具体的に決めておく

また、家庭内の会話が、「今日は痛くなかった?」という、**症状についての確認ばかりにならないよう**、意識することも大切です。普段通りの、何気ない会話を大事にすることが、かえって「話してもいい」という安心感につながるのだと思います。

まとめ

  • 検査で異常がないのに続く腹痛・頭痛は、ストレスによる「身体症状症」の可能性がある
  • 学期の前半は、新しい環境へのプレッシャーから、症状が出やすい時期とされている
  • 「休ませるべきか」「何に悩んでいるか分からない」という2つの迷いは、多くの親に共通している
  • 不安が身体症状として出るか言葉として出るかは、「話せば聞いてもらえる」という安心感の有無で分かれるとされる
  • 家庭でできるサポートは、環境調整・話を聞く姿勢・目標の見直し・見守りの線引きの4つに整理できる

アセラズ、クサラズ、アキラメズ。

「痛み」の裏にある気持ちを、少しずつ言葉にしていけるよう、焦らず寄り添っていきたいですね。

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