「気合いが足りない」は誤解だった。起立性調節障害、約9割の親が”働き方”にまで影響

育児・生活習慣系

結論から言います。「夜更かしのせいでしょ」「気合いが足りないんじゃない?」——朝、子どもがどうしても起きられない時、周囲からこう言われてしまうことがあります。でも、これは単なる生活習慣の乱れではなく、「起立性調節障害」という、れっきとした身体の病気である場合があります。そして、この病気は、子ども本人だけでなく、保護者の働き方にまで、静かに影響を広げていました。

中高生の約10人に1人がかかる、身近な病気

起立性調節障害(OD)は、自律神経のバランスが崩れることで起こる病気です。朝起き上がれない、立ちくらみ、めまい、頭痛といった症状が特徴で、軽症を含めると、小学生の約5%、中学生の約10%が発症するとされています。つまり、中高生のおよそ10人に1人がかかる、決して珍しくない病気です。

病名自体の認知度は87.5%と高いものの、「詳しく知らない」という人が大半で、「子どもの病気」という思い込みも根強く残っています。症状が昼過ぎには治まることが多いため、「仮病では」「夜更かしのせいでは」と、周囲から誤解されやすいのも、この病気の難しいところです。

約9割の保護者が、”働き方”にまで影響を受けている

起立性調節障害改善協会が2026年10月に発表した最新の実態調査(全国の保護者122名対象)によると、約9割の保護者が、子どもの体調により、自身の仕事に何らかの影響を受けていることが分かりました。有給休暇の消化、遅刻や早退などが、日常的に発生しているといいます。

影響が最も大きい場面として挙げられたのは、「平日の朝」で40.2%にのぼります。2学期が本格化し、家庭と仕事の両立が再び難しくなるこの時期に、これまであまり焦点が当たってこなかった、「保護者の就労・経済的負担」という課題が、数字として可視化された形です。

不登校の背景に、この病気が隠れていることもある

起立性調節障害は、思春期によく見られる一時的な変化で、予後は良好とされることが多い病気です。ただ、重症の場合は、日常生活への支障が著しく、不登校やひきこもりを引き起こし、学校生活やその後の社会復帰にまで影響を与えることがあるとされています。

「朝、どうしても起きられない」「学校に行こうとすると、めまいや頭痛がする」といった様子が続く場合、単なる「気合いの問題」として片付けず、一度、身体の病気である可能性を考えてみることも大切だと思います。

治療は、薬ではなく「生活習慣の工夫」が基本

起立性調節障害の治療は、薬物療法ではなく、「非薬物療法」、つまり生活習慣の工夫が基本とされています。

起立性調節障害の根本には、「交感神経」と「副交感神経」のバランスの崩れがあります。日中は交感神経が優位になり活動的に過ごせても、夜になっても交感神経が優位なままだと、寝つきが悪くなり、朝の不調にもつながりやすくなります。夜にしっかり副交感神経へ切り替えられるよう、生活リズムを整えることも、改善のポイントの一つです。

具体的には、こうした方法が紹介されています。

  • 朝、明るい光を浴びて、体内時計をリセットする
  • 急に起き上がらず、布団の中で手足を動かしてから、ゆっくり時間をかけて起きる
  • 水分・塩分を、意識して多めに摂る(1日1.5〜2リットルが目安)
  • 1日15〜30分程度の軽い運動を続ける
  • 就寝前は、スマホ・タブレットの画面を見る時間を減らし、ぬるめのお風呂(38〜40度程度)でゆっくり温まるなど、夜に副交感神経を優位にする工夫を取り入れる
  • 就寝時間が遅くならないよう、生活リズムを整える

私自身、お酒をよく飲みますが、特に深酒をした翌日は、二日酔いとは別に、明らかに肌が荒れているのが分かります。一方で、休肝日を2日ほど設けると、身体が回復していく感覚を、はっきりと感じられます。特に朝、しっかり眠れた後に、副交感神経がきちんと働いているような感覚があるのです。

これは大人の例ですが、「身体が整っていく感覚を、自分自身で感じられること」自体が、とても大切なのだと思います。起立性調節障害と向き合う子どもたちにとっても、「ちゃんと良くなってきている」という感覚を、本人が少しずつ実感できることが、生活改善を続ける支えになるのではないでしょうか。

軽症であれば、適切な対応によって2〜3か月程度で改善が期待できるとされています。ただ、何より大切なのは、「怠けている」のではなく「身体の病気である」と、家族や周囲が正しく理解することです。この理解があるだけで、本人・家族のストレスは大きく変わってくるとされています。

まとめ

  • 起立性調節障害は、自律神経の乱れによる病気で、中高生の約10人に1人がかかるとされる
  • 「夜更かしのせい」「気合いが足りない」という誤解を受けやすいが、れっきとした身体の病気である
  • 最新調査で、約9割の保護者が、子どもの体調により自身の働き方に影響を受けていることが分かった
  • 重症化すると、不登校やひきこもりにつながることもある
  • 治療は生活習慣の工夫が基本で、何より「病気である」という正しい理解と、回復していく感覚を実感できることが、支えになる

アセラズ、クサラズ、アキラメズ。

朝起きられないことを、気合いの問題にしないこと。それが、子どもにとっても、家族にとっても、一番の支えになるのだと思います。

※本記事で紹介した生活改善の工夫は、一般的に紹介されている内容です。症状が続く場合や、具体的な治療方針については、医療機関にご相談ください。

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