不登校率、発達障害の子は平均の3〜5倍。でも”原因”ではなく”環境”の話だった

不登校・通信制

結論から言います。「発達障害だから不登校になりやすい」——これは、正確な理解ではないかもしれません。

文部科学省の調査研究で、発達障害やその疑いがある小中学生の不登校率が、全体平均を大きく上回ることが分かりました。ただ、詳しく調べていくと、これは単純な因果関係の話ではなく、「その子に合う環境が、まだ整っていないだけ」という話だったことが、見えてきました。

不登校率、全体平均の3〜5倍という数字

このほど公表された文部科学省の調査研究によると、調査対象となった学校全体での不登校率は3.71%でした。これに対し、特別支援学級(自閉症・情緒障害)に在籍していた児童生徒、特別な教育的支援の求め・相談があった児童生徒の不登校率は、1〜2割に達しています。

単純に比較すると、全体平均の3〜5倍以上という差です。背景には、2024年度の小中学生の不登校が約35万3,000人と、10年前より約23万人増えているという大きな流れもあります。発達障害と診断される子ども自体、世界的に増加傾向にあることも指摘されています。

これは、「原因」ではなく「環境」の話

ここで、誤解してほしくないことがあります。この数字は、「発達障害があるから、不登校になる」という単純な因果関係を示しているわけではありません。

発達障害のある子は、通常の学級の環境(見通しの立たない指示、感覚的な刺激の多さ、対人関係の複雑さなど)に、他の子より強くストレスを感じやすい傾向があります。つまり、「その子が弱いから」ではなく、「今の環境が、その子の特性に合っていないから」、学校がしんどい場所になりやすい、ということです。

予防に関連すると分かっている、3つの取り組み

同じ調査で、分かりやすい授業づくり、学校と保護者の連携、校種間での丁寧な引き継ぎが、不登校の未然防止に関連することも明らかになっています。具体的には、こういった取り組みです。

■ 分かりやすい授業づくり
学習予定を視覚的に示す(活動予定表の活用)、実際に体験する機会を増やす、時間に融通を持たせるなど。「言葉の指示だけでは行動できない」子にとって、見通しが立つこと自体が、心理的な安心につながります。

■ 学校と保護者の連携
障害を起因とした不安感・孤独感を解消し、自尊心を高める配慮を、家庭と学校がすり合わせながら行うこと。

■ 校種間での丁寧な引き継ぎ
小学校から中学校へ進学する際など、個別の支援計画・指導計画が確実に引き継がれること。これがうまくいかず対応が困難になるケースは、実は総務省の行政評価でも以前から指摘されてきた、長年の課題でもあります。

これらは法律上、「合理的配慮」と呼ばれる枠組みに含まれます。2024年4月からは、私立学校や事業者にも提供が義務化されており、「学校にお願いしても仕方ない」ではなく、制度上、学校側に対応する義務がある、というのが今の状況です。

それでも、正直に言っておきたいこと

ここまで、希望の持てるデータを紹介してきました。ただ、正直に言っておきたいことがあります。「分かりやすい授業づくり」も「丁寧な引き継ぎ」も、言うのは簡単ですが、実際にやろうとすると、一人ひとりに合わせた教材準備、個別の面談、引き継ぎ資料の作成と、先生一人あたりの業務量は確実に増えます。しかも、これは学級に対象の子が一人いる・いないに関わらず、通常学級の先生が、日々の業務の合間にやることになる話です。

「良い支援」は、誰かの負担の上に成り立っている。これは、部活動の地域移行などでも繰り返し感じてきたことですが、ここでも同じ構造があるのだと思います。

だからこそ、家庭にできること

学校任せにするのではなく、家庭側からできることもあると思います。合理的配慮は、学校から提供されるのを待つだけでなく、家庭側から「こういう配慮があると助かる」と具体的に伝えることで、実現しやすくなる面があります。お子さんの特性を、担任の先生と早めに、そして具体的に共有しておくこと。それ自体が、先生の負担を減らしながら、子どもに合った環境を作る、小さな一歩になるはずです。

まとめ

  • 発達障害・特別な支援が必要な児童生徒の不登校率は、全体平均(3.71%)の3〜5倍以上(1〜2割)に達している
  • これは「発達障害だから不登校になる」という因果関係ではなく、「その子に合う環境がまだ整っていない」という環境の問題
  • 分かりやすい授業づくり・学校と保護者の連携・校種間の引き継ぎが、未然防止に関連すると分かっている
  • ただしこれらの実現は、先生の業務量増加という現実の上に成り立っている
  • 学校任せにせず、家庭から具体的に特性を共有することも、環境づくりの一歩になる

アセラズ、クサラズ、アキラメズ。

「その子が弱いから」ではなく、「その子に合う環境を、一緒に探していく」。そんな視点を、大切にしていきたいと思います。

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