高校受験、学習塾に通える子と通えない子。差は「約2倍」、でも本当の理由は教育費ではなかった

進路・高校選び

結論から言います。中学3年生、高校受験を控えた子どもたち。学習塾や家庭教師などに通っている割合には、世帯年収によって約2倍の差があります。以前の記事で紹介した「体験格差」の調査、実はその続きに、受験期という、より切実な場面でのデータもありました。

高校受験生、学習塾等への参加率に約2倍の差

チャンス・フォー・チルドレン(公益社団法人)が、全国の小中高生の保護者7,374人を対象に行った実態調査(2026年3月実施)によると、中学3年生の子どもがいる世帯で、直近1年間に学習塾や家庭教師などの学校外の学習活動に参加した割合は、年収300万円未満の世帯で36.8%、年収600万円以上の世帯で70.9%でした。約1.9倍の差です。

学習活動に参加している家庭に限っても、支出額の中央値は、年収300万円未満の世帯で24万円、年収600万円以上の世帯で36万円と、1.5倍の開きがありました。参加できるかどうかだけでなく、参加した後の”濃さ”にも、差が生じています。

教育費を削る、本当の理由

ここが、今回一番考えさせられたポイントです。物価高によって、学校外の教育支出を「減らした」と答えた年収300万円未満の世帯に、その理由を尋ねたところ、最も多かった回答は**「生活必需品(食料品・日用品)の価格上昇」で、76.5%**にのぼりました。

つまり、「塾代が高いから、教育費を削った」のではなく、**「食費や光熱費が上がったことで、結果として、教育費を削らざるを得なかった」**という構造です。教育費そのものの問題ではなく、生活全体を押し上げる物価高が、巡り巡って、子どもの学びの機会を押し出してしまっている、ということだと思います。

進路への「期待」にまで、格差は及んでいた

この調査で、もう一つ、見過ごせない結果がありました。子どもが将来進むと思う、現実的な進路について尋ねたところ、「大学まで」または「大学院まで」と答えた保護者の割合は、年収300万円未満の世帯で40.7%、年収600万円以上の世帯で75.2%でした。

さらに、進路選択の理由として「家庭に経済的な余裕がないから」を挙げた割合は、低所得世帯の方が、年収600万円以上の世帯の**4倍以上**にのぼりました。経済的な事情が、子ども自身の可能性に対する、親の”期待値”そのものにまで、影響を及ぼしているのだと思います。

保護者の、切実な声

同じ調査では、生活困窮家庭の保護者から寄せられた、具体的な声も紹介されていました。

「成長期に物価高騰で栄養バランスの取れた食事もさせてあげられておりません。周りの友達はお休みにお出かけしているのに、どこにも連れて行ってあげられません。まずは美味しいご飯をお腹いっぱい食べさせてあげたい。少しでいいので遠出をさせてあげたい」。

この声からも分かる通り、保護者が最初に守ろうとするのは、教育費ではなく、**食事や生活そのもの**です。教育格差は、「教育にお金をかけられるかどうか」という単純な話ではなく、**生活の土台が揺らいだ、その先に生じている**のだと思います。

教育費だけを見ていては、問題の本質を見誤る

チャンス・フォー・チルドレンは、今回の調査結果を受けて、「物価高と言われ始めて数年が経つが、この状況が長引けば、低所得家庭の子どもの教育機会が失われるだけでなく、将来の選択肢をも狭めざるを得なくなり、教育格差がより一層拡大する恐れがある」と、警鐘を鳴らしています。

教育費の支援策だけでなく、**生活必需品の物価そのものへの対策**がなければ、教育格差の根本的な解消にはつながらないのかもしれません。これは、国の政策レベルの話ではありますが、保護者としても、「教育費を削る前に、実は生活費そのものが、既に家計を圧迫していないか」を、一歩引いて見ておく視点は、大切なのだと思います。

まとめ

  • 高校受験生(中3)の学習塾等への参加率は、世帯年収で約1.9倍の差があり、支出額の中央値にも1.5倍の差がある
  • 物価高で教育費を削る理由として最も多いのは「食料品・日用品の価格上昇」であり、教育費そのものの高さが主因ではない
  • 子どもの現実的な進路への期待にも、世帯年収で約2倍の差があり、理由に「経済的余裕のなさ」を挙げる割合は低所得世帯で4倍以上
  • 教育格差は、生活の土台(物価高)が揺らいだ先に生じている構造的な問題である可能性が高い

アセラズ、クサラズ、アキラメズ。

教育費だけでなく、暮らしそのものを支える視点を持つことが、本当の意味での教育機会の保障につながるのだと思います。

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