公立と私立、結局どっちがいい?元PTA会長が見てきた本音

進路・高校選び

正直に言います。公立と私立、どちらが良いかに正解はありません。

最近、「私立高校が人気」という話をよく耳にするようになりました。2026年度から授業料の所得制限が撤廃され、私立でも公立と同じ感覚で選べるようになったことが後押ししているのだと思います。実際、区P会長として学校現場と関わる中でも、「うちも私立を検討してみようかな」という保護者の声を聞く機会が明らかに増えました。

でも、PTA活動を通じて数百人の保護者と関わってきた経験、そして何より自分自身が3人の子どもでそれぞれ違う選択をしてきた経験から言うと、「公立と私立、どちらが正解か」という問いの立て方自体が、少しズレているように感じます。

我が家の場合。同じ親でも選択は分かれる

うちには3人の子どもがいます。長男は私立高校、次男は公立高校に進学しました。そして今中学1年生の三男は、公立に行かせたいと考えています。

同じ親が育てた3人なのに、選択がバラバラです。これは決して行き当たりばったりで決めたわけではなく、それぞれの子どもの状況に合わせて、その都度真剣に考えた結果です。

私立を選んだ長男のケース

長男は野球をやっていて、複数の高校から声がかかりました。公立・私立、両方から話をいただいたので、実際にそれぞれの学校の体験練習に参加し、指導者の雰囲気や部の方針を自分の目で確かめた上で、私立高校に進学することを決めました。

この選択、今振り返っても良かったと思っています。長男は卒業した今でも、定期的に高校に挨拶に行っています。監督やコーチ陣との関係性は今も続いていて、進路や仕事の相談にも乗ってもらっています。私立高校の部活動は、指導者との距離が近く、「入って終わり」ではなく「卒業後も続く関係性」を作れることがあります。これは、私立を選んで本当に良かったと感じる部分です。

公立を選んだ次男のケース

一方、次男は正直に言うと、勉強が得意なタイプではありませんでした。行ける高校の選択肢自体が、それほど多くはありませんでした。

いくつか私立高校の話も聞きましたが、その学校の様子を見ていると、途中で辞めていく生徒が結構いるという話を耳にしました。合わない環境に置かれた時、私立によっては「合わないなら仕方ない」という空気になりやすい学校もあります。

対して、今通っている公立高校は、多少うまくいかないことがあっても、簡単に生徒を見放さない雰囲気があります。先生方が根気強く関わってくれる。これが、次男にとって公立を選んだ一番の理由でした。

PTA会長として見てきた、他の家庭のリアル

自分の子ども2人だけでなく、7年間のPTA活動を通じて、本当にたくさんの家庭の高校選びを見てきました。

その中で感じるのは、「公立が良い」「私立が良い」という単純な優劣ではなく、その子にとって、その環境が合っているかどうかが全てだということです。

面倒見の良さを求めるなら公立にも私立にも良い学校はありますし、逆に「合わなければ次を探せばいい」というドライな空気の学校が、ある子にとっては伸び伸びできる環境になることもあります。

これまで見てきた家庭の中には、「まわりが私立を選んでいるから」「なんとなく公立の方が安心だから」という理由だけで決めてしまい、入学後に「思っていたのと違った」と感じているケースも少なくありませんでした。逆に、うちの長男・次男のように、複数の選択肢を実際に見て比較した家庭ほど、入学後の満足度が高い傾向にあると感じています。

費用の違いも、正直に

きれいごとだけでは終われないので、正直にお伝えします。長男(私立)と次男(公立)では、かかった費用は全然違いました。

三男を公立に行かせたいと考えている理由の一つも、率直に言えば費用面です。2026年度から私立の授業料無償化が拡充されたとはいえ、対象になるのはあくまで授業料だけです。入学金や教材費、部活動にかかる費用まで含めると、私立と公立の差はまだ小さくありません(詳しくは「高校無償化は本当に無料?」の記事もあわせてご覧ください)。

3人育ててきた家庭として、費用は現実的に無視できない要素です。

大阪府の実業系高校、今後どう変わる?

三男の高校選びを考える中で、大阪府立の実業系高校(商業・工業・農業など)の動向も調べてみました。結論から言うと、学校の数を減らす再編と、教育の中身そのものを作り変える改革が、同時に進んでいます

まず学校数の面では、少子化に伴う再編がすでに具体的なスケジュールとして動いています。工業系では、生野工業・泉尾工業・東淀工業の3校が統合し、2028年4月に新しい工業系高校が開校する予定です。校名は2026年6月に「大阪府立FIORA高等学校(仮称)」に決まりました。

一方で、学校数とは別に、実業系高校の学びの中身そのものを見直す動きも進んでいます。商業科では、大阪府の審議会でアントレプレナーシップ教育やビジネス探究型のカリキュラムを取り入れる案が議論されており、従来の「簿記・会計を学ぶ場所」というイメージから大きく姿を変える可能性があります。また、国の予算を活用した「改革先導拠点校」の枠組みでは、農芸高校(堺市)がロボティクスやスマート農業を学ぶ拠点として申請されるなど、農業系でも同様の動きが見られます。

つまり実業系高校は今、「減らす」再編と「変える」改革が同時並行で進んでいる時期にあたります。志望校を検討する時期には、学校のホームページや説明会で最新の情報を必ず確認することをおすすめします。数年前のイメージのまま選んでしまうと、入学時には想像していた学校と違う、ということも起こり得ます。

まとめ

公立と私立、どちらが正解ということはありません。長男と次男、2つの経験から言えるのは、判断基準にすべきは「公立か私立か」ではなく、次の点だと思います。

  • その学校で、子どもが伸び伸びと過ごせそうか
  • うまくいかない時に、その学校がどう関わってくれそうか
  • 費用面(授業料以外にかかるお金)も含めて、現実的に無理がないか
  • 志望校が実業系の場合は、再編・改革の動向も最新情報を確認する

これは、以前書いた「高校選びで後悔しない」の記事でお伝えした「その学校で、その子が輝けるか」という問いと、根っこは同じです。

アセラズ、クサラズ、アキラメズ。

費用のことも、環境のことも、正直に子どもと話し合いながら、その子に合った場所を一緒に探していただければと思います。

※本記事の学校再編・改革に関する情報は2026年7月時点のものです。今後変更される可能性があるため、最新情報は大阪府教育委員会の公式サイトや志望校の説明会でご確認ください。

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