中学英語、「話す」の正答率はまさかの25%。全国学力テストが突きつけた、日本の弱点

家庭学習

結論から言います。2026年度の全国学力テストで、中学校の英語が初めて、4技能すべてコンピュータで測定されました。その結果、「話すこと」の正答率が、想像以上に低い数字だったことが分かりました。

初めて測定された「話すこと」、その正答率は

文部科学省と国立教育政策研究所が2026年7月に公表した「令和8年度全国学力・学習状況調査」で、中学校英語の4技能(聞く・読む・書く・話す)が、初めてすべてコンピュータ上で測定されました。全体のスコアは、500点を基準として499点とほぼ平均的な水準でした。

ただ、「話すこと」の個別の設問を見ていくと、かなり厳しい結果が出ています。「自分のまちを訪れるのにおすすめの季節を、理由とともに話す」という設問の正答率は、わずか21.5%。「学校生活をよりよくする方法について、自分の考えを話す」という設問は、正答率25.8%で、しかも無解答率が17.0%にのぼりました。つまり、5〜6人に1人近くが、何も話せなかった、ということです。

弱点の正体は、「考え」と「根拠」を分けて話す力

国立教育政策研究所の分析によれば、国語のある設問(「暑い夏を快適に過ごすための衣服のくふう」について書く問題)で、興味深い違いが見られました。正答した子は、資料から「白は熱を反射し、黒は吸収する」という事実を正確に引用し、それを根拠として「白い服の方が涼しい」という自分の考えを、きちんと区別して書けていました。一方、誤答した子は、考えは書けていても、根拠となる事実の示し方が、うまくできていませんでした。

つまり、「考えがない」ことが問題なのではなく、**「自分の考え」と「その根拠」を、頭の中で分けて、順序立てて説明する力**が弱いのだと、国立教育政策研究所も分析しています。そしてこれは、英語だけでなく、国語にも共通する、教科を超えた弱点だったのです。

幼少期から英語に力を入れているのに、なぜ?

最近は、私立幼稚園で英語の授業を取り入れていたり、公立の保育園でも外国人の先生を招いて英語に触れる機会を作っていたり、小学校でも英語が正式な教科になっていたりと、以前よりずっと、英語に力を入れているはずです。それなのに、なぜこの結果になってしまうのでしょうか。

調べていくと、答えが見えてきました。小学校で英語教育が早期化された、そもそもの狙いは、「耳を鍛えること」、つまり音に慣れ、英語を楽しいと感じてもらうことでした。幼稚園・保育園での取り組みも、同じ発想の延長線上にあると考えられます。一方、今回の学力テストで測られたのは、「自分の考えを、理由とともに、論理立てて話す」という、まったく別の、より高度な力です。**早期化で力を入れてきた部分と、今回弱点として見つかった部分は、そもそもズレていた**、ということなのだと思います。

実際、現場の教師からも、「週1〜2回の授業では、4技能をバランスよく教えるのは難しい」という声が上がっており、ゲームや歌で楽しむ段階から、意見を理由とともに述べる段階まで、時間的に手が回っていないのが実情のようです。

家庭でできる、シンプルな工夫

難しいことをする必要はないのだと思います。子どもが小さい頃、「なんで?」と聞いてきたのと同じように、今度は親が、子どもに「なんでそう思うの?」と、日常の中で問いかけてみる。それだけで、理由を言葉にする練習になります。

「今日の給食、何がおいしかった?」で終わらせず、「なんでそれが一番おいしいと思ったの?」と、もう一歩踏み込んでみる。正解を求める必要はなく、理由を言葉にする機会を、日常の中に増やしていくことが、一番の近道なのだと思います。

ただし、ここで一つ、気をつけたいことがあります。「なんでそう思うの?」を、質問攻めのように連発してしまうと、子どもは問い詰められているように感じて、かえって答えたくなくなってしまいます。大切なのは、頻度より、タイミングと雰囲気です。子どもが自分から何かを話した、そのすぐ後の自然な流れの中で、軽く一言添えるくらいがちょうどいいのだと思います。

これは、日本語での練習ですが、実は英語にもつながる部分があります。言語学の分野には、母語でしっかり鍛えた論理的な思考力が、後から学ぶ外国語の習得にも活きてくる、という考え方があります。英単語や文法を増やす前に、「考えと根拠を分けて話す」という、日本語での練習自体が、遠回りのようで、実は近道なのかもしれません。

まとめ

  • 2026年度の全国学力テストで、中学英語の4技能が初めてすべてコンピュータで測定された
  • 「話すこと」の設問では、正答率21.5%・25.8%、無解答率17.0%という、厳しい結果が出た
  • 国語でも「考えと根拠を分けて説明する力」に、英語と共通する課題があることが分かった
  • 幼少期からの英語教育は「耳を鍛える」ことが目的で、「理由を説明する力」とは、そもそも狙いがズレていた
  • 子どもが小さい頃に「なぜ?」と聞いてきたのと逆に、今度は親から「なぜそう思う?」と問いかける習慣が、家庭でできる工夫になる

アセラズ、クサラズ、アキラメズ。

「なぜ?」を聞く側と聞かれる側が入れ替わる、そのタイミングを、親子の会話を見直すきっかけにしてみたいと思います。

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