学びの多様化学校、全国84校に急増。でも、どこにも届いていない子が、まだ13万人いる

不登校・通信制

結論から言います。「学びの多様化学校」という、新しい学校の形が、全国で急速に増えています。ただ、調べていくと、この明るいニュースの裏側で、まだ誰にも届いていない子どもたちが、想像以上に多くいることが見えてきました。

「学びの多様化学校」、全国84校に急増

「学びの多様化学校」(旧称・不登校特例校)は、不登校の児童生徒の実態に合わせて、授業時間や教育課程を柔軟に組める、文部科学大臣指定の正規の学校です。フリースクールと違い、「学校」そのものなので、転入すれば在籍そのものが移ります。

2025年度は58校でしたが、2026年度には**84校**まで、1年で急増しました。設置形態は、学校まるごとが対象になる「本校型」、独立した校舎を持つ「分校型」、既存の学校内に教室を置く「分教室型」、高校の特定コースのみが対象の「コース指定型」の4種類があります。国は「COCOLOプラン」のもと、すべての都道府県・政令指定都市への設置、その先に**将来的には300校**という目標を掲げています。

以前取材した、大阪市の心和中学校も、この一つです

実は、以前このブログで取材した大阪市の心和中学校も、この「学びの多様化学校」の一つです。校則がなく、フロアを自由に選べる仕組み、担任ガチャを回避する制度など、現場の工夫を詳しく取材しました。

ただ、その取材で見えてきたのは、明るい話だけではありませんでした。校長先生は「ここは最後の砦です」と語る一方で、**心和中学校のような現場でも、定員は常に超過しており、あぶれてしまう子どもがいる**という、構造的な課題を抱えています。

地域と学年、両方に「隙間」がある

さらに詳しく見ていくと、この制度には、2つの大きな隙間があることが分かります。

一つは、**地域の隙間**です。84校まで増えたとはいえ、設置されているのは34都道府県にとどまり、**残り13県には、まだ1校もありません**。もう一つは、**学年の隙間**です。学校種別で見ると、中学校が63校ともっとも多い一方で、**小学校は、わずか4校程度**しかありません。不登校の小学生自体は、令和6年度で13万7,704人(前年度比+5.6%)と大きく増えているのに、受け皿の整備は、小学生にはほとんど追いついていないのです。

そもそも、その前段階にも隙間がある

ここで、もう一歩手前の話もしておきたいと思います。「学びの多様化学校」にたどり着く前段階として、多くの地域では「教育支援センター(適応指導教室)」という、市区町村の教育委員会が運営する公的な居場所があります。

ところが、この教育支援センターを設置している自治体は、全体の**約63%**にとどまります。つまり、**約4割の自治体には、そもそもこの前段階の居場所自体が存在しません**。利用するにも、「学習意欲がある」「一人で通所できる」といった条件があり、誰もが気軽に使えるわけでもないのが実情です。

つまり、公的な受け皿は、「教育支援センター」→「学びの多様化学校」という順番で用意されてはいるものの、**どちらの段階にも、地域や条件による隙間がある**ということです。この隙間からこぼれた家庭が、最終的に頼ることになるのが、民間の「フリースクール」ですが、ここには、費用負担という、また別の壁が立ちはだかります。

一番、知ってほしい数字

ここまで紹介してきた3段階の受け皿、「教育支援センター」「学びの多様化学校」「フリースクール」を、仮にすべて並べてみても、正直に言うと、全員を受け止めきれてはいません。

不登校の小中学生、35万3,970人のうち、学校内外のどの専門機関にも相談・指導につながっていない子どもは、**13万5,724人**にのぼります。全体の、およそ4割近くです。「学びの多様化学校が84校に増えた」という明るいニュースの裏側で、これだけの数の子どもたちが、今もまだ、誰にも届いていない状態にある、ということです。

まとめ

  • 「学びの多様化学校」は、2025年度の58校から2026年度には84校に急増し、国は将来的に300校を目指している
  • 心和中学校のような現場でも、定員は常に超過しており、あぶれてしまう子がいるという課題がある
  • 設置は13県でゼロ、学校種別では小学校がわずか4校程度と、地域・学年の両面で隙間がある
  • その前段階にあたる教育支援センターも、設置自治体は約63%にとどまる
  • 不登校の小中学生35万人超のうち、13万人超がどの専門機関にも繋がっていないという現実がある

アセラズ、クサラズ、アキラメズ。

制度が整うのを待つだけでなく、今ある選択肢を知っておくこと自体が、こぼれ落ちを防ぐ、小さいけれど確かな一歩になるのだと思います。

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