「作文の宿題が出るたびに、子どもが固まってしまう…」
小学生の作文から、中学生の読書感想文、高校受験の志望動機まで。
「書けない」という壁は、成長とともに形を変えながら子どもの前に立ちはだかります。
でも正直に言います。
作文が苦手な子どもは、文章を書く力がないのではありません。
「感じたことを言葉にする経験」が少ないだけです。
7年間PTA会長を務める中で、表現力が豊かな子どもの家庭には共通点がありました。特別な教材を使っているわけでも、作文の練習を繰り返しているわけでもありませんでした。
この記事では、小学生から中学生まで使える、作文が苦手な子どもへの本質的な対処法をお伝えします。
なぜ子どもは作文が苦手になるのか
① 「感じたこと」を言葉にする機会が少ない
現代の子どもは、情報を受け取ることには慣れています。動画を見る、ゲームをする——でもそこから自分が何を感じたかを言葉にする機会はほとんどありません。インプットばかりでアウトプットがない状態が続くと、いざ書こうとしても言葉が出てこなくなります。
② 「正解を書かなければ」というプレッシャー
学校の作文には「上手に書かなければならない」という空気があります。そのプレッシャーが子どもの手を止めます。正解がないはずの作文に、正解を求めてしまう。これが作文嫌いの大きな原因です。
③ 語彙が少ない
言いたいことはあるのに、言葉が見つからない。これは語彙力の問題です。語彙は読書や会話の中で自然に増えていくものですが、その機会が減っている子どもは言葉の引き出しが少ないまま成長します。
④ 自分の気持ちがわからない
これが一番深い問題です。感受性が豊かな子どもほど、自分の感情が複雑すぎて言葉にできないことがあります。「楽しかった」「悲しかった」という単純な言葉では表現しきれない感情を持っているのに、その言葉しか知らない。だから書けなくなります。
【小学生向け】親がすぐにできる対処法
① 「どうだった?」より「どう感じた?」と聞く
学校から帰った子どもに「今日どうだった?」と聞くと「普通」と返ってきます。これは感情を問う質問ではないからです。「今日一番楽しかった瞬間はいつ?」「給食で一番好きだったのは?」のように、具体的な感情を引き出す質問に変えるだけで、子どもは言葉を探し始めます。
② 親が先に「感じたこと」を話す
「今日スーパーで見た夕焼けがきれいで、なんか懐かしい気持ちになったんだよね」親が日常の中で感じたことを言葉にして話す姿を見せることで、子どもは「感じたことを言葉にしていいんだ」と学びます。表現力は教えるものではなく、見せるものです。
③ 日記を「出来事」ではなく「感情」で書かせる
「今日は〜をしました」という出来事の羅列ではなく、「今日一番嬉しかったこと」「今日モヤモヤしたこと」という感情を書く日記に変えてみてください。最初は一行でいい。感情を言葉にする習慣が、表現力の土台になります。
④ 子どもの言葉を否定しない
「そんな言い方じゃわからない」「もっとちゃんと書きなさい」という言葉は、子どもの表現意欲を一瞬で奪います。たとえ拙い表現でも「そうか、そう感じたんだね」と受け止めることが、次の言葉を生み出す土台になります。
⑤ 本を「読む」だけでなく「話す」
読み聞かせや読書の後に「この主人公、どう思う?」と聞いてみてください。正解はありません。子どもが感じたことを自由に話す経験が、語彙と表現力を同時に育てます。
【中学生向け】親がすぐにできる対処法
① 本人が興味あるテーマで書かせる
中学生になると「正しく書かなければ」という自意識が強くなります。だからこそ最初は好きなこと・興味あることをテーマにするのが効果的です。ゲームでも、スポーツでも、推しでも何でもいい。好きなことなら言葉は自然に出てきます。
② 親は評価せず「面白いね」と受け止める
中学生への「ここが違う」「もっとこう書きなさい」は完全に逆効果です。書いたことに対して「そういう風に感じたんだね」「面白い視点だね」と受け止めるだけで、次も書こうという気持ちが生まれます。
③ 他の子と比べない
「お兄ちゃんは作文が上手だったのに」「クラスの〇〇ちゃんはすらすら書けるのに」という比較は表現意欲を根こそぎ奪います。中学生は特に自己評価が揺れやすい時期です。他と比べず「あなたの言葉」を大切にする姿勢が重要です。
④ SNSの文章を否定しない
中学生はSNSやLINEで毎日文章を書いています。「そんな短い文章ばかり書いて」と否定せず、「あなたはもう毎日文章を書いているんだよ」と伝えてあげてください。文章を書くことへの抵抗感が薄れます。
⑤ 締め切りより「書き始め」を大切にする
中学生の作文が苦手な最大の理由は「完璧なものを書かなければ」というプレッシャーで最初の一行が書けないことです。「とりあえず思ったことを箇条書きにしてみよう」という声かけが、最初の壁を越えるきっかけになります。
小学生・中学生共通で大切なこと
年齢に関係なく、表現力を育てる土台は一つです。
「感じたことを言葉にしていい」という安心感のある家庭環境です。
どれだけ良い方法を試しても、家庭の中で子どもの言葉が否定される環境では表現力は育ちません。まず親が子どもの言葉の「最初の聴衆」になることが、全ての土台です。
表現力を育てる通信教育という選択肢
日常の会話や習慣に加えて、体系的に表現力を育てたい場合は通信教育も効果的です。
Z会
記述式の問題が多く、「自分の言葉で答える」経験を積み重ねられます。答えが一つではない問いに向き合うことで、表現力と思考力が同時に育ちます。
スマイルゼミ
タブレットで楽しく学べる設計で、言葉への抵抗感が少ない子どもにも取り組みやすいです。
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まとめ
作文が苦手な子どもに必要なのは、作文の練習ではありません。
小学生なら「感じたことを言葉にする習慣」を一緒に作ること。中学生なら「書いた言葉を否定しない環境」を作ること。
年齢は違っても、根っこは同じです。
「あなたの言葉には価値がある」
その安心感を家庭の中で作ることが、表現力を育てる一番の近道です。
7年間PTA活動を通じて感じてきたのは、表現力が豊かな子どもの家庭は例外なく、親が子どもの言葉を大切に受け止めていたということです。
まず今日、子どもが話したことに「そうか、そう感じたんだね」と一言返してみてください。
その一言が、子どもの言葉を育てる第一歩になります。


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