ゲーム時間を減らしても意味がない。データが示す、本当に効くルールの決め方

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結論から言います。「1日1時間まで」「休日は2時間まで」というような、時間の長さでゲームルールを決めるやり方は、実はあまり効果がありません。これは感覚論ではなく、データが示していることです。今日は、我が家で実際にルールが崩れた失敗談も交えながら、本当に効くルールの決め方をお伝えします。

時間を減らしても、効果はほぼゼロ

経済産業研究所(RIETI)の田中辰雄氏による研究では、ゲームのプレイを自己管理できる子どもは、進学という目標に対しても自分を制御できるため、進学実績が上がるという結果が出ています。ここで重要なのは、「自分で決めたルールがあった場合は進学率が上昇する一方、家族から一方的に決められたルールでは、むしろ進学実績が下がるケースもある」という点です。

つまり、時間の長さそのものより、「誰が、どうやってルールを決めたか」の方が、はるかに重要だということです。

それでも、ゲームは「勝てない設計」になっている

とはいえ、疑問も残ります。ゲームは、ドーパミンが結果そのものより「次はどうなるか」という期待に強く反応する性質を利用して作られており、意志の力だけでは抗いにくい設計になっています。だとすると、「自分で決めたルール」だからといって、そう簡単に守れるものなのでしょうか。

ここで大事なのは、自己決定が効くのは「ゲームの魅力に勝てるから」ではないということです。親が決めたルールを破ったとき、子どもは「親に隠れてやる」という発想になりがちです。一方、自分で決めたルールを破ったときは、「自分で決めたのに守れなかった」という、自分自身への向き合い方が生まれます。自己決定は、誘惑に勝つ力を与えるのではなく、ルールを破ったときに、それに気づき、軌道修正する力を育てるものなのだと思います。

「話し合い」にも、実は落とし穴がある

以前このブログでも、「子どもと話し合ってルールを決めましょう」とお伝えしたことがあります。あの考え方自体は、今も間違っていないと思っています。ただ、その後さらに考えていくうちに、「話し合い」という言葉には、見落としがちな落とし穴があることに気づきました。

話し合いは、結局のところ、親目線の言葉です。「1日何時間がいいと思う?」「じゃあ、間をとってこうしよう」というプロセスは、一見子どもの意見を尊重しているようで、実質的には親の理屈が通りやすい「既成事実づくり」になりがちです。特に、自分の気持ちをうまく言葉にするのが苦手な子にとって、話し合いは分が悪い勝負になります。

我が家でも、実際にルールが崩れました

正直に告白すると、我が家でも夏休みにゲームのルールを話し合って決めたことがあります。でも、見事に崩れました。「1時間」と決めても、ちょうど1時間のところでキリよく終われることはほとんどありません。「あともう少しでクリアできるところなのに」「約束だろ?」というやり取りが、ほぼ毎日のように起きました。

話し合って決めたはずなのに、なぜこんなに上手くいかない日が多かったのか。ここに、時間で区切ることそのものの、構造的な問題があったのだと、後になって気づきました。

本当の問題は、「時間」で区切っていたこと

今のゲームには、セーブできる場所に制限があったり、対戦中には区切れなかったりと、時間だけできれいに区切れない場面がたくさんあります。専門家の間でも、タイマーが鳴ったからといって即座に終わらせるのではなく、「じゃあ、どこまでで終われる?」と、次の区切りのタイミングを聞くことが推奨されています。

つまり、私たち親が「時間」という基準でルールを決めてしまうこと自体が、ゲームの構造と噛み合っていなかったのです。子どもが悪いのでも、意志が弱いのでもありません。ルールの決め方が、そもそもゲームに合っていなかっただけです。

選択肢は、「時間の長さ」ではなく「終わり方」にする

そこでおすすめしたいのが、時間の長さではなく、「終わり方」を選択肢にすることです。選択肢の数は、2つだと選ばされている感が強く、6つ以上だと逆に決められなくなります。3つ程度に絞ると、子どもは自分の意思で選んでいる実感を持ちやすくなります。

具体的には、こんな3つの選択肢です。

  • A. このステージ(ミッション)をクリアしたら終わり
  • B. 今の試合(対戦)が終わったら終わり
  • C. 夕食の時間まで、またはお風呂の前まで

その日の遊び方に合わせて、子ども自身にこの中から選んでもらいます。時間ではなく、ゲームや生活の「区切り」に合わせて終わりを決めることで、「あと少しなのに」という衝突そのものが起きにくくなります。

誘導と自己決定は、対立しない

ここで一つ、正直に言っておきたいことがあります。この3つの選択肢は、親であるこちらが事前に用意したものです。つまり、完全に子どもの自由な発想から生まれたルールではありません。

それでいいのだと思います。選択式は、子どもを騙すための小手先のテクニックではありません。親が責任を持って選択肢を設計し、その枠の中で、子どもが本当に自分の意思で選ぶ。これは、「誘導」と「自己決定」を対立させない、現実的な方法だと思います。

まとめ

  • 時間の長さでルールを決めても、それ自体にはほぼ効果がないというデータがある
  • 効果があるのは、時間の長さではなく「誰が、どう決めたか」
  • 自己決定は「誘惑に勝つ力」ではなく「ルールを破ったときに気づき、軌道修正する力」を育てるもの
  • 「話し合い」は親目線の言葉になりがちで、言語化が苦手な子には分が悪い
  • 時間で区切ると、ゲームのキリの良さと噛み合わず、衝突が起きやすい
  • 「終わり方」を3つの選択肢から選ばせると、ゲームの構造と衝突しにくくなる

アセラズ、クサラズ、アキラメズ。

ルールが守られないのは、子どもの意志が弱いからではありません。ルールの形が、ゲームや子どもの実態に合っていなかっただけかもしれません。時間ではなく、終わり方を選ばせる。それだけで、毎日の小さな衝突が減っていくかもしれません。

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