全国学力調査でわかった「スマホと学力」の本当の関係。文科省データを読み解く

スマホ・ゲーム対策

結論から言います。「SNSの長時間利用で学力に差がつく」というニュース、たしかに事実です。ですが、文部科学省が公表した元の調査資料をすべて読んでみると、ニュースでは触れられていない、もっと大事なデータがありました。

先日、FNNプライムオンラインが「SNS長時間利用で小中学生の学力に差 勉強時間は減少傾向」という記事を配信していました。平日に3時間以上SNS・動画視聴をしている児童生徒が、小学6年生で37.3%、中学3年生で49.1%というデータは衝撃的です。ですが、この記事、実は元データのごく一部しか紹介していません

ニュースが見落としている「もう一つの相関」

文部科学省の資料をすべて読み込むと、スマホの使用時間よりも、実はもっとはっきりした差を生んでいる要素が見つかります。それが「家にある本の冊数」です。

0〜25冊26〜100冊101冊以上
小学校国語(平均正答数/14問)8.5問9.7問10.2問
小学校算数(平均正答数/16問)7.9問9.7問10.7問
中学校数学(平均正答数/15問)6.2問7.7問8.6問

本が101冊以上ある家庭の子どもは、25冊以下の家庭の子どもより、すべての教科で明確に正答率が高いという結果が出ています。これは「スマホをやめさせる」という話より先に、実は語られるべきデータだったのではないかと思います。

ニュースの最後に一言だけあった「本当に大事なデータ」

もう一つ、FNNの記事は最後にこう書いています。「学校の勉強のことを家族と話している児童・生徒ほど、授業以外での勉強時間が長かった」。この一文、実はもっと重要な意味を持っています。

元データを見ると、この傾向は「授業がよく分かる」子も「よく分からない」子も、どちらにも共通していました。つまり成績の良し悪しに関わらず、「今日の勉強どうだった?」と聞くこと自体に価値があるということです。

さらに、家庭の環境(本の冊数が少ない家庭)であっても、「授業で自分から課題解決に取り組んだ」と答えた子どもは、本が多い家庭で「取り組んでいない」と答えた子どもより、正答率が高いという結果も出ています。つまり環境の差は、本人の主体性や家庭での関わり方によって埋められる可能性があるということです。これは、「うちは本が少ないから」「あの家とは環境が違うから」と諦める必要はない、という希望のあるデータだと思います。

「スマホが悪い」で終わらせない

もちろん、スマホ・ゲームの使用時間と正答率が逆相関の傾向にあるのは事実です。ただし、元データにはこんな記述もあります。「ゲームの時間を限定している」保護者の子どもの方が、テレビゲームの時間が短い。「スマホルールを守るよう促す」保護者の子どもの方が、SNSや動画視聴の時間が短い。

つまり、「使わせない」ではなく「親がルールを示す」ことに効果があるということです。ニュースの見出しだけを見ると「スマホ=悪」という単純な話に見えますが、元データはもう少し立体的なことを教えてくれています。

結局、家庭でできることは3つ

ニュースが報じていない部分まで含めて整理すると、家庭でできることは次の3つに集約されます。

  • 本のある環境を作る:高価な本を揃える必要はなく、図書館の活用でも十分
  • スマホ・ゲームに「ルールを示す」:完全に禁止するのではなく、限定する・促すという関わり方自体に効果がある
  • 勉強の話をする:成績の良し悪しに関わらず、「今日どうだった?」と聞くこと自体が、勉強時間の長さにつながる

ニュースの見出しだけを見て「うちの子もスマホばかりで心配」と不安になるより、元データが教えてくれる、もっと具体的にできることに目を向けた方が、次の一歩につながるのではないかと思います。

まとめ

  • 「SNS長時間利用で学力差」というニュースは事実だが、元データにはもっと詳しい情報がある
  • 「家にある本の冊数」は、スマホの使用時間以上にはっきりした差を生んでいた
  • 親子で勉強の話をする家庭は、成績の良し悪しに関わらず勉強時間が長い傾向がある
  • 家庭環境の差は、本人の主体性や家庭での関わり方によって埋められる可能性がある
  • スマホ対策は「禁止」ではなく「親がルールを示す」ことに効果がある

アセラズ、クサラズ、アキラメズ。

ニュースの見出しに不安になる前に、元データを読むと、案外できることは身近なところにありました。

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