結論から言います。「うちはもう遅い」「小さい頃にちゃんとやっておけばよかった」——読み聞かせについて、そう感じている方も多いと思います。でも、最新の研究を見ると、この不安は、実はあまり気にしなくていいことが分かってきました。
「早く始めること」は、実はそこまで重要ではなかった
東京科学大学医歯学総合研究科の藤原武男教授らの研究チームが、2026年9月2日に発表した研究成果があります。東京都足立区が実施した「子供の健康・生活実態調査」のデータを用い、区内の公立小学校全67校に通う小学1年生2,609人とその保護者を対象に調査した結果です。
この研究では、「読み聞かせを始めた年齢」と「読み聞かせを続けた年数」を、それぞれ切り分けて比較しました。その結果、**開始時期による明確な違いは認められませんでした**。一方で、開始年齢をそろえて比較したところ、**読み聞かせを長く続けた子どもほど、良好な傾向**が見られたのです。
つまり、「何歳から始めたか」よりも、「どれだけ長く続けたか」の方が、子どもの心理・社会的な成長や読書習慣と、より一貫して関連していた、ということです。
なぜ、遅く始めても効果があるのか
ここで、もう一つ知っておきたいことがあります。子どもの「聞いて理解する力」は、「自分で読んで理解する力」よりも、先に発達するという特性です。
具体的には、**中学2年生くらいまで、子どもの読書レベルは、聞き取りのレベルに追いついていない**とされています。つまり、小学校高学年や中学生になっても、自分ではまだ読みこなせない、複雑な構成の物語を、読み聞かせなら理解し、楽しむことができる、ということです。
自分で本が読めるようになった時点で読み聞かせを終わらせてしまう家庭は多いですが、実はそこで終わらせてしまうのは、少しもったいないのかもしれません。
「もう遅い」と思っていた家庭にも、朗報
「幼少期に読み聞かせをしなかった」という家庭の実例でも、小学校高学年から読み聞かせを始めて、読書習慣が身についたという報告があります。読解力は、中学生以降の学習でも土台になる力なので、始める時期に「もう手遅れ」という区切りは、実はないのだと思います。
大切なのは、「いつから始めたか」を気にすることではなく、「今日から、どれだけ続けられるか」に目を向けることなのだと思います。
我が家では、妻が5年ほど、読み聞かせを続けてくれていました。振り返ってみると、「いつ始めたか」よりも、この5年間という継続が、子どもたちにとって意味のある時間だったのだと、今回の研究結果を見て、改めて感じています。
まとめ
- 東京科学大学の研究で、読み聞かせは「早く始めること」より「長く続けること」の方が、子どもの成長と強く関連することが分かった
- 開始時期による明確な差は認められなかった
- 子どもの「聞き取り」の理解力は「自分で読む」力より先に発達するため、高学年・中学生になっても読み聞かせには効果がある
- 「幼少期にやらなかったから、もう遅い」ということはなく、始めるタイミングに正解はない
- 大切なのは、いつ始めたかより、今日からどれだけ続けられるか
アセラズ、クサラズ、アキラメズ。
「もう遅い」と諦める必要はありません。今日から始める読み聞かせにも、ちゃんと意味があります。


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