結論から言います。2026年4月から、高校の授業料が実質無償化されました。でも、その裏側で、私立高校の「学校納付金」(施設設備費やPTA会費など)が、1年でほぼ2倍に跳ね上がっていたことが、新しい調査で明らかになりました。
学校納付金、1年でほぼ2倍に
セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(公益社団法人)が、経済的に困難な子育て世帯を対象に行った実態調査(2026年10月19日発表)によると、私立高校に進学した高校1年生の保護者の回答で、入学金や学校納付金など、ほぼすべての項目が、前年調査より増額していました。
中でも「学校納付金」(施設設備費やPTA会費など)は、前年の平均7万3,364円から、**14万7,526円へと、約2倍に急増**しています。入学金も14万5,961円から17万3,135円に、制服代も9万3,646円から10万8,766円に、それぞれ増加していました。
専門家の指摘:「無償化が、かえって負担増を招いた」可能性
なぜ、このような事態が起きているのでしょうか。会見に登壇した千葉大学の白川優治教授(教育社会学)は、こう分析しています。「授業料への公費支援が拡充されたことで、私立高校が、それ以外の納付金を引き上げた可能性がある」。
つまり、**国からの支援で浮いたはずの分が、学校側によって、別の名目で、そのまま吸収されてしまったのではないか**、という指摘です。もしこれが実態なら、「無償化」という言葉が与える安心感と、実際の家計負担との間に、大きなズレが生まれていることになります。
今も重い、学用品という”隠れ教育費”
負担が増えているのは、納付金だけではありません。高校1年生の保護者の半数以上(国公立54.1%、私立58.2%)が、入学にあたってパソコンやタブレットの購入・リースが「必要だった」と回答しています。そのうち8割以上が、学校から機種を指定されていたにもかかわらず、購入時の公的な補助があったと答えたのは、私立高校でわずか7%でした。
さらに、絵の具セット・書道セット・裁縫セットといった学用品も、8割を超える家庭が、自分で購入していました。文部科学省は、こうした物品を「学校備品」として扱うことを推奨していますが、実態は、依然として家庭の自己負担に頼っている状況です。
高校無償化は、「進路選択」にも影響していた
こうした”見えない負担”は、単なる家計の問題にとどまりません。「高校無償化後も、結局授業料以外の出費があると思ったため、私立は選択肢に入れられなかった」と回答した高校1年生は、27.0%にのぼり、理由として最も多い回答でした。授業料が無償化されても、それ以外の費用が、進路選択そのものを狭めている実態が、浮き彫りになっています。
国への提言と、家庭で確認できる支援制度
セーブ・ザ・チルドレンは、今回の調査結果をもとに、政府・関係省庁に対して、次の提言をまとめています。
- 就学援助や高校生等奨学給付金など、授業料以外の費用に対する経済的支援の拡充
- 学用品の「備品化」の拡大(学校への備え付け化)と、国による実態把握
- 高校入学前の「準備金制度」の創設
さらに、「私立大学では、既に文部科学省から入学金の見直しが要請されている」ことを踏まえ、「私立高校についても、これまで慣行とされてきた入学金や学校納付金を、再考する必要がある」と、踏み込んだ提言もしています。
一方、家庭で今すぐ確認できる支援制度もあります。非課税世帯などを対象に、授業料以外の費用を支援する「高校生等奨学給付金制度」や、自治体ごとの「就学援助制度」です。意外と知られていないことも多いので、お住まいの自治体の窓口で、一度確認してみる価値があると思います。
まとめ
- 私立高校の「学校納付金」は、1年でほぼ2倍(7.3万円→14.8万円)に急増した
- 専門家は、授業料支援の拡充が、かえって納付金引き上げを招いた可能性を指摘している
- パソコン・学用品など、授業料以外の負担も、依然として家庭に重くのしかかっている
- 授業料以外の負担を理由に、私立高校を選択肢から外した高校1年生は27.0%にのぼる
- 国への提言とあわせて、高校生等奨学給付金など、家庭で今すぐ確認できる支援制度もある
アセラズ、クサラズ、アキラメズ。
「無償化」という言葉だけで安心せず、授業料以外にかかる費用全体を、冷静に見ておくことが、進路選択の幅を守る、一つの備えになるのだと思います。


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