結論から言います。日本の男性の育休取得率は、ついに50.9%に達しました。2人に1人が、育休を取得する時代です。喜ばしいニュースですが、調べていくと、取得率の先に、新しい課題が見えてきました。「心のワンオペ」と呼ばれる、新しい形の孤独です。
男性育休、ついに2人に1人の時代へ
積水ハウスが発表した「男性育休白書2026」によると、厚生労働省の調査で、日本の男性の育休取得率は50.9%に達しました。未就学児と同居する男性に限ると39.6%(前年比+3.3ポイント)、平均取得日数は27.2日(同+5.7日)と、いずれも伸びています。
男性の家事・育児への関与度(自己評価)も、2019年の47.1%から2026年には79.3%へと、32.2ポイント上昇しました。数字だけ見れば、着実に前進しています。
新しい課題、「心のワンオペ」とは
一方で、新しく浮かび上がった課題が「心のワンオペ」です。皿洗いやゴミ出しのような、目に見える家事とは別に、「子どもの予定を把握する」「忘れ物がないよう準備する」「家族の体調や機嫌に気を配る」といった、**予定管理や先回りの判断を要する、目に見えない家事・育児**があります。この負担を十分に共有できず、一人で抱え込んでしまうことを、「心のワンオペ」と呼んでいます。
この見えない家事・育児に負担を感じている割合は、女性74.5%、男性52.3%。22.2ポイントの差があります。家事・育児で孤独を感じた経験も、男性35.4%に対し、女性は67.7%と、ほぼ2倍にのぼります。
育休を取っても、「見えない家事」の負担はほぼ変わらない
ここが、今回一番衝撃的だった発見です。「見えない家事」を負担に感じている女性の割合は、**夫が育休を取っていない場合74.8%、夫が育休を取った場合73.8%**と、ほとんど差がありませんでした。白書自体が、「単に夫が育休を取得しただけでは、女性の負担感は軽減されない」と、はっきり指摘しています。
実際、「とるだけ育休」と妻から評価された夫が実践している家事・育児の項目数は、平均6.4項目。一方、「とるだけではない」と評価された夫は、10.1項目を実践していました。**「取ること」と「中身が伴っていること」は、まったく別の話**なのです。
正直に言うと、私自身も「晩御飯の献立を考える」という部分は、妻に任せっきりにしてきました。料理は、調理そのもの以外にも、冷蔵庫の中身を確認し、献立を考え、足りない食材を買いに行き、下処理をする、という、いくつもの工程から成り立っています。「何を作るか」を考える負担は、調理そのものより、ずっと見えにくいものです。今回、この記事を書きながら、改めて気づかされました。
女性が本当に求めているもの
では、女性は、男性に何を求めているのでしょうか。ある調査で、「『見えない家事』の負担を減らすため、最も重視することは何ですか」と尋ねたところ、結果はこうでした。
- 完璧を求めない意識共有:47.7%(最多)
- 家事の見える化と明確な分担:33.3%
- 便利家電や外注サービスの活用:6.9%
約半数が、一番に求めているのは、「もっと作業をしてほしい」ではなく、「**完璧を求めない意識共有**」でした。これは、**任せっきりから、自分事として考えてほしい**ということなのだと思います。
「手伝う」という言葉には、「本来はあなたの仕事だが、今回だけ例外的に手を貸す」というニュアンスが、どうしても含まれてしまいます。これが、「結局、自分の仕事だと思われている」という感覚につながります。ある体験談では、妻が「後で畳もう」とソファに置いていた洗濯物を、ある日、夫が気づいて畳んでくれたというエピソードが紹介されていました。夫自身は、「見えていなかっただけで、見えたらできる」という場合も、実は多いのだと思います。
解消のカギは、夫婦の対話
では、どうすれば「心のワンオペ」は解消できるのでしょうか。調査では、家庭内コミュニケーションの満足度が高い家庭ほど、「見えない家事」の負担感・孤独感ともに低い傾向が見られました。コミュニケーションに満足している男性は、そうでない男性に比べ、「妻の負担を理解している」「家事・育児への当事者意識がある」という回答が、20ポイント以上高かったとされています。
積水ハウスでは、育休取得前に「家族ミーティングシート」の提出を義務付け、見えない家事・育児についても、事前に夫婦で話し合う仕組みを作っているといいます。特別なことではなく、「今日はここまでしかできなかった」と、お互いの状況を正直に報告し合う、小さな積み重ねが、大きな違いを生むのだと思います。
まとめ
- 男性育休取得率は50.9%に達し、2人に1人が取得する時代になった
- 一方で「見えない家事・育児」の負担が一方に偏る「心のワンオペ」という新しい課題が浮かび上がっている
- 育休を取得しても、「見えない家事」の負担感は、ほとんど変わらないというデータがある
- 女性が最も求めているのは「完璧を求めない意識共有」。任せっきりから、自分事として考えてほしいという願いだと考えられる
- 家庭内コミュニケーションの満足度が高いほど、負担感・孤独感ともに低い傾向がある
アセラズ、クサラズ、アキラメズ。
「取ること」がゴールではなく、「見えない部分を、一緒に背負おうとすること」こそが、本当のスタートなのだと思います。


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